1980年代に、アメリカの投資研究家「ジョン・ボリンジャー」の考案したテクニカルです。
主に逆張り指標として紹介さる事が多く、非常に人気があり、多くのトレーダーに利用されています。
使い方は、FXでも株でも仮想通貨でも基本的に同じですので、一度覚えてしまえば他の投資対象にも利用することができます。
ここでは、FXでのボリンジャーバンドの使い方、メリットや欠点などをご紹介します。
ボリンジャーバンドとは?
ボリンジャーバンドとは、「移動平均±標準偏差」のことです。
移動平均線(ミドルライン)の上下に、同期間の標準偏差ラインを引きます。
そして、大半の価格がこの中で推移するという考え方に基づいて、相場を判断するのです。
ちなみに標準偏差というのは、価格がどのように分布しているのかを表すものです。
いきなり、何だか難しく感じてしまいますよね。
簡単に言うと、ボリンジャーバンドは、過去の特定期間のレートを平均したミドルライン(移動平均線)と、そこから一定の偏差値分だけ上下に広がった2本のライン(バンド)でできています。
後者のラインは2本だけでなく、4本~6本と増やして使われることも多いです。
この上下のラインは、±1σ(シグマ)、±2σ、±3σという表現をされており、ここが、移動平均線に加えられた「統計学」という部分です。
そしてこの上下のバンドによって挟まれた間が、将来の相場における価格の変動幅を一定の確率の元に、視覚的に表現したものとなります。
一定の確率というのは、過去の値動きを元に統計学を用いて求められた結果です。
±1σ~±2σ内での値動きが収まる確率は、下記の通りです。
- ±1σ内に収まる確率68.3%(外れる可能性31.7%)
- ±2σ内に収まる確率95.5%(外れる可能性4.5%)
- ±3σ内に収まる確率99.7%(外れる可能性0.3%)
ということは、±2σより外にレートがある場合、※逆張りポジションをとれば、95.5%の確率で戻ってくると考えられます。
しかし実際には、このような考え方だけでは逆張り指標として全く使えません。
さらに様々な条件の下ではじめて機能するのです。
そもそも考案者のジョン・ボリンジャーは、※順張りによる投資を行うテクニカル指標だとしています。
また、現在投資家の間で使われるボリンジャーバンドの設定期間は、9日・20日・25日などが主流となっています。
(※逆張りとは、トレンドと反対方向に取引を行う事。順張りは、トレンドと同方向に取引を行う事。)
形状の呼び方とバンドウォーク
束のような形に見えるボリンジャーバンドですが、これは相場の動きによってわかりやすく形状が変わります。
例えば、相場の動きが激しい状態だと、この束は大きく広がった状態になります。
逆に相場の動きがほとんどないような場合は、キュッと狭く縮んだ形状になります。
さらに、開いたボリンジャーバンドに沿ってレートが推移する状態もあります。
これらの形状・状態にはそれぞれ名称があるので、覚えておきましょう。
1.エクスパンション
ボリンジャーバンドが広がった状態のことを「エクスパンション」と呼びます。
相場のトレンドに勢いが出たときに見られる形状で、レートは一気に上昇、または下降します。
そのため、トレードチャンスになるとも言えますね。
また、値動き側が開いただけではエクスパンションとはみなしません。
この状態では、その方向にレートが推移しても、値が上下しやすくなります。
値動きと逆側のバンドも同時に開くのがエクスパンションの状態です。
上下両側のバンドが開いた状態をエクスパンションと呼び、一方向に勢いよくレートが推移する強いトレンドとなるわけです。
この状態になった後は、必ず値動きと反対側のバンドが閉じ始めます。
ここが勢いがなくなってきたと判断できるポイントです。
さらに値動き側のバンドが閉じ始めることにより、本格的に勢いがなくなったと判断できます。
また、このエクスパンションは、後述の「スクイーズ」の後によくみられる状態です。
2.スクイーズ
ボリンジャーバンドがギュッと狭くなった状態を、「スクイーズ」と呼びます。
英語で「搾る・押しつぶす」と言った意味がありますが、まさにその状態のことを指します。
このとき、レートの値動きが非常に小さくなるため、トレードするには不向きになる場合があります。
ですが、この後一気にトレンドが発生するキッカケにもなります。
スクイーズが長く続けば続くほど、次へのエネルギーを溜めることになるのです。
3.バンドウォーク
エクスパンションの後、狙い通りにトレンドが発生すると、「バンドウォーク」と呼ばれる現象が起きます。
これは、開いたボリンジャーバンドの縁に沿ってレートが推移することを指します。
バンドウォークは、上昇トレンドの場合はプラスのシグマに、下降トレンドの場合はマイナスのシグマに、吸い寄せられるように価格が動きます。
主に、±1σ、±2σの間で推移してトレンドが起こっていることが多いです。
また、エクスパンションが発生しなくても、ダラダラと推移するバンドウォークも存在します。
そのような場合は、一方向へ進みながらも上下の動きが大きくなりがちなので、少しトレードの難易度が高くなります。
順張りか逆張りか?使い方のポイント
1.順張りでの取引の場合
基本は、「エクスパンション」と「バンドウォーク」を利用した使い方になります。
ボリンジャーバンドが、スクイーズ状態から広がりだしたときは、トレンドが起きる前兆を示唆しています。
バンドウォークが起きているとき、ボリンジャーバンドはエクスパンドした状態です。
スクイーズした状態のときに、エクスパンドが始まるのを予測する、というのが順張りにおける狙い目です。
つまり、ボリンジャーバンドの広がりに注目しておくことが重要です。
エクスパンションとバンドウォークを確認した後に、トレンド方向へ取引を行うことが、順張りでの使い方となるわけです。
2.逆張りでの取引の場合
こちらは、分析期間の相場が変わらなければ、超有効です。
ボリンジャーバンド±2σのラインは、値動きの収まる可能性が95.5%でしたよね。
逆にこのラインを超えたとき(可能性は4.5%)の価格は、売られ過ぎや買われ過ぎな状態なので、一時的な異常値という可能性が高いわけです。
つまり、再びボリンジャーバンド内に収束すると考えられます。
この考え方で、±2σを超えたら逆張りでの取引ができます。
また、この手法は「エクスパンションが発生していない」という条件を加えることで精度が上がります。
ですので、レンジ相場の動きの中で逆張りを行うことになります。
しかし、この手法での取引は、非常に経験と集中力が必要です。
FX初心者の方は、その点をよく注意してくださいね。
このように、ボリンジャーバンドは逆張りと順張り、どちらにも使える便利なテクニカルです。
また、様々な取引スタイルにかかわらず、それぞれの手法で使用が可能です。
利点は欠点と背中合わせ!
ボリンジャーバンドには、様々な利点があります。
順張り、逆張りのどちらにも使えたり、その他それぞれの取引手法にも対応できます。
視覚的にわかりやすく、バンドの形状や動きの癖を把握することで、どこまで利を伸ばすことができるのかがはっきり見えてきます。
しかしながら、利点とはいつも欠点と背中合わせなのです。
例えば、レートが急落しているさなかに、逆張りで取引を行ったとします。
そのときボリンジャーバンドの2σを超えたからと言って、このような取引をしてしまうと、一時的に大きな損失を招いたことになりますよね。
何度か紹介していますが、この±2σ以内に相場が収まる可能性は95.5%です。
つまり、これを超えるということは、異常相場を示しているわけです。
これは、数年に1度しかない非常に大きな値動きを見せる相場も含まれます。
過去の値動きの系統から導き出されたボリンジャーバンドでは、このような異常相場が起こった場合には全く役に立たないのです。
また、順張りで使うと、売買ポイントが遅いという欠点も持っています。
ですので、ボリンジャーバンドを使う際には、利点と同じように欠点についても、よく考慮して取引するようにしましょう。
ボリンジャーバンドのまとめ
- 値動きが収まる可能性を把握しよう
- 設定期間は9日・20日・25日が主流
- 形状・状態の名称を覚えておこう
- 順張り、逆張りのどちらにも使える
- 利点と同じくらい、欠点についても考慮しよう